発達障害

発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。
得意・不得意の特性と、その人が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから、社会生活に困難が発生します。発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは十人十色です。

発達障害の種類

主に1.自閉症スペクトラム障害 2.学習障害(LD) 3.注意欠如・多動性障害(ADHD)に分類されています。
複数の発達障害を伴う場合も多いなど個人差がとても大きく、また、周囲の対応や環境によって生じる後天的な二次障害(引きこもりやうつ状態等)を発症しやすいのも特徴です。

1.自閉症スペクトラム障害

最近の調査では子どものおよそ20~50人に1人が自閉スペクトラム障害と診断されるともいわれています。男性に多くみられ、女性の約2~4倍という報告があります。
主となる症状は、日常的な会話のキャッチボールができない、愛着を示す行動が乏しく、知らない人の中に置かれても平気なように見える点です。
また、会話を行う際に表情の変化が乏しかったり、ジェスチャーが少なかったりする点も特徴です。周囲の空気を読むことが苦手で、雰囲気を壊したり、空気を読めない発言をしてしまうこともあり、人との関係を上手に築くことが困難な人も多いです。
変化に対応することが難しく、些細な変化に対しても大きな抵抗感や苦痛を感じてしまいます。知的に障害がない場合には障害者とみなさないこともあります。

自閉症スペクトラムが疑われる場合の例(子供の場合)
  • なかなか視線が合わない
  • 表情が乏しい
  • 名前を呼んでも振り向かない事が多い
  • 人見知りしない
  • 人の言ったことをオウム返しする
  • 抱っこや触られるのを嫌がる
  • 欲し いものを言葉や身振りで伝えずに、親の手をつかんで連れて行って示す
  • ひとりごとが多い

〈アスペルガー症候群〉
古い診断名で、現在は自閉症スペクトラム障害に含まれる障害です。
対人関係の障害やパターン化した興味や活動という自閉症の特徴はありつつ、言葉の発達や知的発達に遅れが見られないことが特徴です。
遠まわしな表現や比喩を使った表現、表情やしぐさから相手の感情を読み取ることに困難さがあるため、自分の話ばかりしてしまったり、相手が傷つく言葉を悪気なく伝えてしまったりするなどの困りごとがあると言われています。
その他にも、一度決まったルーティンが崩れたり、新しい環境へ適応が必要になったりするなど変化に対する抵抗が強くあるとも言われています。
言語発達の遅れが知的発達やないた見が遅れやすく、幼少期からアイコンタクトの少なさや気持ちの共有がしにくいといったコミュニケーションの取りにくさは感じつつも、発達的な課題があることに気づかれにくいところがあります。また表面的な言語的コミュニケーションを取ることができ、学力的にも問題が生じていない場合もあるので、大人になるまで分からなかったという方もいます。

アスペルガー症候群が疑われる場合の例(大人の場合)
  • それまでと脈絡のない会話を突然振られるとフリーズしてしまう、または怒り出す
  • 臨機応変に対応することが難しい
  • その場の空気を読んで行動したり発言することが苦手
  • 会話が嚙み合わないとよく言われる
  • 物事を複数の人と行うより1人で行うことを好む
  • 具体性のないことが理解しずらい

2.学習障害(LD)

学習障害(Learning Disability:LD)とは、知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。
LDのタイプは読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)に分かれています。

・読字障害(ディスレクシア)

・書字障害(ディスグラフィア)

文字を書くことに困難があります。知的の発達に遅れはなく文字も読むことはできますが、ひらがなを書くということが苦手であったり、漢字が書けないなどがあります。

・算数障害(ディスカリキュリア)

簡単な計算ができなかったり、九九を覚えるのが困難、数の大小が分からないといった困難があります。読み書きやコミュニケーション能力に問題はありません。

読み書きや計算能力は、就学前には学んでいない場合がほとんどの為、本格的な学習に入るまで判断が難しく、障害に気づかないことも少なくありません。中には発達障害によるものではなく単なる苦手分野だと判断され、大人になるまで気づかれないことも多くあります。
学習障害の人は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」という5つの能力の全てに必ず困難があるというわけではなく、一部の能力だけに困難がある場合が多いです。
読む能力はあっても書くのが苦手、他の教科は問題ないのに数学だけは理解ができないなど、ある特定分野に偏りが見られます。また、同じ「読む」ことの障害でも、ひらがなは問題なくても漢字が苦手など、その状態はさまざまです。一方、読字と書字の障害など、複数が併せて現れる場合も多く見られますが原因は特定されていません。

3.注意欠如・多動性障害(ADHD)

ほかの子と比べて落ち着きのなさが極めて目立つのが注意欠如・多動性障害(ADHD)です。注意欠如の特徴としては、「授業中、注意を持続することができない」「忘れ物が多い」「片づけが苦手」などがあります。
多動・衝動性の特徴としては、「授業中、席を離れて歩き回る」「順番を待つことができない」「しゃべりすぎる」などがあります。
大人になると、計画的に物事を進められない、そわそわとして落ち着かない、他のことを考えてしまう、感情のコントロールが難しいなど、症状の現れ方が偏しますが、一般に、落ち着きのなさなどの多動性-衝動性は軽減することが多いとされています。また、不安や気分の落ち込みや気分の波などの精神的な不調を伴うこともあります。

発達障害の原因

まだはっきりとは解明されていませんが、何らかの要因により、先天的に脳の一部の機能に障害があることが原因とされています。
一部の特性においては、胎児期の風疹感染などの感染症や遺伝子の異常などが影響するといわれています。症状が顕在化するかどうかには環境要因も関係しますが、一面的に親の育て方や愛情不足などが原因だというのは誤りです。