躁うつ病(双極性障害)

躁うつ病(双極性障害)は、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで意欲がないうつ状態を繰り返す病気です。躁状態では、寝なくても活動的で、とても気分が良いので、本人は病気の自覚がないことも多いです。本人だけでなく、身近な家族や同僚が、「どうもいつものあの人と違う」と感じ、更に、家族や周囲の人が困り、社会的に問題となる程であれば、それは双極性障害の可能性があります。下記に、躁状態やうつ状態の客観的な変化を挙げるので参考にしてください。また、躁うつ病の半数は2年以内に再発し、70~90%は5年以内に再発し、生涯の再発率は95%とも言われており、非常に再発性が高いと言えます。こうした躁とうつの繰り返しを治療せずに放置していると、だんだん再発の周期が短くなっていきます。破産や家庭崩壊などの社会的損失が大きくなる前に、精神科受診をして、病状のコントロールと病相予防のための薬物療法と心理教育を続けて受けることが大切であると考えます。

うつ状態のサイン

  • いつも気分が落ち込んでいる
  • 今まで楽しめていた趣味が楽しめない
  • 不安や焦りがある
  • 意欲がない
  • 自分は価値がない人間だと自分で自分を責めてしまう
  • 集中力がない
  • 死にたくなる
  • 不眠がある
  • 食欲がない、体重が減った
  • 倦怠感がある
  • 性欲がない
  • 動悸や息苦しさがある
  • 便秘や下痢がある
  • 頭痛や肩こりがある

躁状態のサイン

  • 寝なくても元気に活動できる
  • 注意が散漫になる
  • 次々にアイデアが出てくるが、最後までやり遂げることができない
  • 根拠のない自身に満ち溢れ、自分は偉大な存在になったと思う
  • 買い物やギャンブルに多額をつぎこむ
  • 大きな声で話し続ける
  • 友人や同僚に電話をかけまくる
  • 怒りっぽくなる
  • 性的に奔放になる

双極性障害の分類

日常生活や社会生活に大きな支障を来すほどの激しい躁状態がみられ、入院が必要である「双極Ⅰ型障害」と、それほど激しくないがいつもよりテンションが高い状態の軽躁状態がみられる「双極Ⅱ型障害」にわけられます。

双極性障害の治療

双極性障害の治療は、主に薬物療法と心理療法です。
治療の目標は、うつ病相や躁病相の回数や程度、期間を少なくして、全体的な気分の安定化をもたらし、社会機能の回復を目指すことです。

双極性障害の薬物療法

双極性障害の治療薬としては、下記のものがあります。

●気分安定薬…

気分の上がり下がりを最小限にするお薬です。
バルプロ酸ナトリウム、炭酸リチウム、カルバマゼピン、ラモトリギンなど

●抗精神病薬…

気分安定化作用があるのではないかと期待されており、双極性障害の治療においても広く使用されています。
アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、ルラシドンなど
(抗うつ薬…双極性障害においては、抗うつ薬単剤で治療することはありません。必ず、気分安定薬と併用か、抗精神病薬と併用して使用します。)

躁病相、うつ病相、維持期で使用する薬剤が異なります。

躁状態の治療

急性の躁状態では、気分安定薬単剤より、気分安定薬+抗精神病薬の併用療法が効果があると言われています。また抗精神病薬単剤投与も治療選択となっています。

双極うつ病の治療

本邦では、抗精神病薬であるオランザピン、クエチアピンXR(除法製剤)、ルラシドンが双極うつ病の適応となっています。また気分安定薬の炭酸リチウムを使用することもあります。抗うつ薬は単剤で使用することはなく、抗精神病薬や気分安定薬と組み合わせて使用することがあります。

双極性障害維持期の治療

双極性障害では、急性期の治療により躁状態やうつ状態が寛解した後も、再発予防のために、薬物維持療法を継続することが大切と言われています。
日本うつ病学会では、重症の躁病エピソードが一度でもあった場合、2回以上の躁病エピソードが一度でもあった場合、重症のうつ状態を繰り返している場合、家族歴がある場合は維持療法を考慮すべきであるとしています。
維持療法として使用される薬剤は、気分安定薬である炭酸リチウム、抗精神病薬であるクエチアピン、オランザピンなどです。

双極性障害の心理療法

心理療法のみで双極性障害の治療はできません。薬物療法が主体で、心理療法は併用して行います。何よりも大切であるのは、患者様とご家族様が双極性障害の特徴を知り、服薬の必要性を納得することが何より大切だと思います。再発の小さな兆しに気づき、早めに病院に受診するなどして、悪化を防げるようになるとよいでしょう。

修正型電気痙攣療法

薬物療法の効果を待てない緊急時、例えば自殺の危険性が切迫している場合、食事がとれない場合、精神病症状がある場合、緊張病症状がある場合、薬物治療抵抗性の場合には修正型電気痙攣療法(mECT)が適応になる時があります。