統合失調症

統合失調症や統合失調症に関連する障害のまとまりを「統合失調症スペクトラム」と言います。統合失調症スペクトラムには、下記があります。

統合失調症スペクトラムとは…

統合失調症や統合失調症に関連する障害のまとまりを「統合失調症スペクトラム」と言います。統合失調症スペクトラムには、下記があります。

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統合失調症の5つの症状とは

1、妄想

現実にはありえないことを本当だと信じ込むこと。被害妄想、注察妄想、誇大妄想、血統妄想、恋愛妄想、憑依妄想など

2、幻覚

現実にはないものを見たり聞いたりすること。統合失調症では幻聴があらわれやすい。自分についての話をしている声がきこえたり、自分の行動を実況中継する声が聞こえたり、命令する声が聞こえたりする。

3、思考障害

  • 考えがまとまらず、話がとぎれとぎれになったり、考える順番が入れ替わったりする。
  • 思考制止-考えるスピードが非常にゆっくりになること
  • 思考途絶-考えが途中で止まってしまうこと
  • 支離滅裂-話の内容が滅裂であること

4、まとまりのない行動

急に興奮して暴力的になったり、逆にまったく反応しなくなったりする。全てのことに無反応になることを緊張病症状という。

5、陰性症状

感情の起伏がなくなり表情が乏しくなる、意欲が低下し自発的に何かをすることがなくなる、家にこもり身だしなみにも気を配らなくなる。

統合失調症の発症と経過

統合失調症の発症は20歳前後に多く、100人に1人の発症率で、誰でも発症する可能性のある病気です。統合失調症の経過は長いですが、発症早期から治療を継続することで、良い状態をキープしていくことが目標です。
統合失調症は4つのステージに分けられます。

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前駆期:

前兆となる症状が出現する時期です。
例えば、焦燥感や不安感が強い、音に敏感になる、抑うつ状態になる、不眠になるなどの症状がみられます。

急性期:

幻覚妄想状態を認める時期です。興奮を認めたり、時に暴力的になったり、対人関係や社会生活に支障をきたします。不眠も強くなります。

消耗期:

幻覚や妄想などの派手な陽性症状は落ち着いてきますが、感情平板化、自宅にこもりがちになるなどの陰性症状を認めます。

回復期:

心身共に少しずつエネルギーが回復してきます。陰性症状は持続しています。再発予防のためにも薬物療法は継続します。リハビリテーションはこの時期からはじめます。

統合失調症の発症の原因は…

統合失調症の発症には、「ストレス・脆弱性モデル」が関連していると言われています。つまり1つの原因に起因するのではなく、複数の危険因子が折り重なって発症するという考え方です。もともと病期のなりやすさがあり、それにストレスが重なって発症の引き金になると言われています。

病気のなりやすさ
  • お腹の中にいるときのウイルス感染
  • 出生時の無酸素状態などで脳機能障害がある低体重で生まれた 
  • 小児期や思春期のアルコール、薬物の乱用歴
  • 小児期や思春期の喫煙歴
  • 遺伝要因
  • 内気でおとなしく、人と交わるのが苦手な性格傾向

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ストレス
  • 環境の変化(転校、転居、親の離婚など)
  • ライフイベント(卒業、就職、結婚など)
  • 病気など

統合失調症の発症

統合失調症の治療

統合失調症は再発をしやすい病気です。薬物治療を継続し、症状をコントロールすることが大切です。発症前の状態に戻すというよりは、
「発症前とは違うが、病期と向き合い自分にとってよりよい状態を目指す」
というのが治療の目標です。

治療の3本柱は、①薬物治療 ②精神療法 ③精神科リハビリテーションです。
急性期には薬物治療と共に休養を十分にとることが大切です。

薬物治療

神経伝達物質の一種であるドパミンが過剰になることで、幻覚や妄想を起こすと考えられています。薬物治療の中心は抗精神病薬と呼ばれるお薬で、これらの薬は、脳内で過剰になったドパミンを抑えることで、ドパミンの働きを調整する作用があります。抗精神病薬は基本的に1剤を使用し、補助の薬を組み合わせます。抗精神病薬1剤で精神症状のコントロールが難しい場合には、やむを得ず2剤や3剤を使用することもあります。抗精神病薬は、幻覚妄想状態の症状を抑えるだけでなく、再発予防効果を認めますので、飲み続けることが大切です。

<抗精神病薬の種類>
・SDA(セロトニン・ドパミン遮断薬)
脳内のドパミンとセロトニンの働きをブロックします。陽性症状だけでなく、陰性症状の改善効果も認めます。
例:リスペリドン、パリぺリドン、ぺロスピロン、ブロナンセリン、ルラシドン

・MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)
セロトニン、ドパミンだけでなく、多くの種類の神経伝達物質をブロックする。陽性症状だけでなく、陰性症状の改善効果も認めます。
例:オランザピン、クエチアピン、アセナピン

・DSS(ドパミン部分作動薬)
ドパミンが過剰な時にはドパミンを抑えるように働き、ドパミンが不足している時にはドパミンを放出するといった作用を有します。陽性症状だけでなく、陰性症状の改善効果も認めます。
例:アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール

・定型抗精神病薬
このタイプは、ドパミンの働きを強力にブロックし、陽性症状を改善させます。強力にブロックするため、副作用が出やすいという面もあります。
例:ハロペリドール、スルピリド、クロルプロマジン塩酸塩、レボメプロマジン

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<補助の薬>
睡眠薬
抗不安薬
気分安定薬
抗うつ薬
抗パーキンソン病薬
抗コリン薬

抗精神病薬と補助の薬を組み合わせ治療します。
抗精神病薬には内服薬だけでなく、注射薬もあります。1回の注射で効果が2~4週間続き、飲み忘れを防ぐ効果があります。12週間効果が続く注射剤も2020年11月に発売されました。

精神療法

医師は、患者さんの体験した幻覚や妄想内容を聞き取り、不安な気持ちや恐怖を受け止め、共感を示したり、否定せずに受け止め、助けようとしていることを伝えます。初診から治療期間を通して、患者さんの気持ちを支えるように接する「支持的精神療法」を行い、医師と患者さんとの信頼関係を培っていきます。病気の特徴や服薬の重要性を医師が説明し、患者さんも納得して治療を進めることができることが望ましいです。また、環境がストレスになる場合は、休職や休学の環境調整を行ったり、家族関係に問題がある場合は、家族同士のバランスを整える家族療法を行ったりします。

精神科リハビリテーション

精神科リハビリテーションは、回復期に始めます。陽性症状は改善していても、陰性症状や認知機能障害を認め、「生きづらさ」「生活しづらさ」が出てくる時期です。当院では、コミュニケーション力を高める、居場所を見つける、生活リズムを整える、病気と共に生きる方法を学ぶ、復職、復学の準備をする、などを目的として「精神デイケア」を行っております。多くの専門スタッフが在中しており、日常生活の小さな困りなどを相談したり、作業プログラムに参加して余暇を楽しんだり、社会生活技能訓練(SST)を通して人とのコミュニケーションをスムーズにする技術を身につけたりします。

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