お菓子作り☆ 生クリームでホイップを作ろう

先日 認知症高齢者の方々を対象にした作業療法で、『お菓子作り☆ 生クリームでホイップを作ろう』というプログラムを行ないました。
工程は簡単で、まず生クリームに砂糖を入れて泡立て

次に泡立てて出来た,ホイップを絞り器に入れて、

絞り器で、本日のおやつである『マロンケーキ』にトッピングする。

といったものです。
初めての試みで、最初は何をやるのかわからず不安そうな顔をしていた方も、生クリームが盛り上がってくると、次第に表情もほころび、楽しそうに参加されていました。
トッピングしたケーキを病棟のホールに持っていき、3時のおやつをみんなで楽しみました。

認知症の方に対する活動としては、楽しみの要素が強いレクよりも、仕事的な要素の高い活動(女性ならば家事的なものなど)の方がなじみがあって乗りやすい事もあると言われていますが、
今回のこの活動もまさに、お菓子作りという家事的な活動で、特に女性の方々は活き活きとした表情をされてエプロンをつけたり、泡立てたりしていました。
ところで、今回のお菓子作りのようなプログラムをすると、普段の歌や体操中心のレクではわからない患者さんの『能力』や『出来る事・出来ない事』がわかるものだなあと今回改めて思いました。
つまり、エプロンの着脱は自力で出来るかどうか?、とか、軽量スプーンや泡立て器などの道具を適切に使えるかどうか?とか、生クリームを搾り出すだけの手指の筋力や巧緻性はどうか?などなどです。
たとえば、このように、生クリームに砂糖を入れるといった時の話ですが、

私は『生クリームの箱1箱に対して大さじ2杯なんですけど、こちらのボールには3箱分の生クリームが入ってます。』と声をかけました。
すると、驚いたことに、ある患者さん(Aさんとする)が『じゃあ砂糖6杯入れたらいいのね!!』と即答しました。
そこで私は『おっ!Aさんは、普段のレクでは日付とか答える事は難しいみたいだけど、こういう計算能力はあるんだなあ』と評価することができました。
認知症の高齢者に対して、長谷川式痴呆スケールのようなテストバッテリーでの計算力をみるよりも、このような実際の活動場面での、計算力を見るほうが、患者さんは答えやすい事もあるといわれていますが、まさに今回は、このような実際の場面での計算能力を見ることができました。
このような実際の場面での患者さんの、能力を細かく見ていくのが作業療法士の仕事なんじゃないかなと、私は考えております。
参考文献:1)室伏君士:痴呆老人の理解とケア,1985,金剛出版
       2)三好春樹:痴呆論,2003,雲母出版

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