リハビリテーションとはなにか

今日の勉強会では、「退院後、調子が悪くなってしまったら、どうすればよいのか」というようなテーマで、患者様と話し合いをさせていただきました。
いつも自由に話しあいをしてもらっているのですが、
「病気が再発する事」と
「自分の病気や症状をどれだけ自分が理解できているか?自分の病気や症状をどれだけ、家族や周りの人に理解してもらっているのか?という事」
は、強いつながりがあると考えている方が多いようで、それに関連する話が多かったです。
いろいろな患者さまの体験談や考えが聞け、スタッフも非常に患者様の言葉に勉強させていただきました。
勉強会ではいつも私が最後に一つ話をして、終わることにしているのですが、
今日の話題に関連して今回はこんな話をさせていただきました。
それは「病気が回復する事というのは、病気になる以前の”元気だった頃の”自分に戻る事とは違うのではないか」という話です。
これは精神科医の中井久夫という人が言っている話なのですが、
その話を引用して少しお話をさせていただきました。
よく「病気になる前の元気だった頃の自分に戻りたい」と話される方がいらっしゃるのですが、
ホントにそうなのでしょうか?
病気になる前の自分に戻る事が健康になることなのでしょうか?
実は”心のやまい”というものは”生活習慣病”のような物で、
病気になる前から、病気になる因子のようなものがある生活をしていたのではないか?ということです。
病気になる前の生活と言うのは、「いつ病気になるかわからないような、不安定で危うさのある生活」だったのかもしれません。
患者さんが治療を受けて目指すべき生活というのは、
実は病気になる前の生活ではなく、
病気になる前よりも”もっと健康的で安定した生活”なのではないでしょうか?
そして、患者様は病気になる以前よりも”もっと健康的で安定した生活”を送れる可能性があるはずだし、
我々、病院スタッフはそのような生活を送れるような支援を行いたいと、
そのような話をさせていただきました。
病気や障害によって失ってしまった昔の自分の生活を取り戻そうとするよりも、
病気や障害があってもゆるがないような、安定して健康的な自分の生活を作り直す事(またはその支援)がリハビリテーションなのではないかと考えています。
失った物を探したり、埋めていく作業というよりも、
新しい自分・より良い自分に出会っていく作業という方が、
回復やリハビリというものは、明るくてポジティブな感覚がするのですが、
いかがでしょう
このようなメッセージがOTの勉強会を通して伝わればよかったかな~と思います。
文献:中井久夫,こんなとき私はどうしてきたか,医学書院,2007

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